アスファルト防水 熱工法とは、塗る工法と貼る工法を合わせた複合工法です。 液状のアスファルトコンパウンドでルーフィングシートを貼り付ける工法で、塗る工法貼る工法の短所を補い合う特徴があります。そのため、最も耐久性が高く、信頼性の高い工法と言われています。
単層防水を比較すると施工面ではヒューマンエラーが起こりにくく、性能面でも表層での不具合が漏水には直結しないという点で優れた工法です。
積層のメリットは物理的な厚みを確保できることです。 防水層の劣化は水・熱・紫外線の他、風圧や飛来物による損傷 なども考える必要があります。
単層のシートでは「製品厚み=防水層の厚み」ですが、アスファ ルト防水は、「製品厚み×積層数=防水層の厚み」となるため、 積層数が増えることで物理的強度も上がることになります。
両者の強度を比較するため、 右図のような試験を実施します。
「メンブレン防水層の性能評価試験方法」による結果
防水仕様 | アスファルト防水・露出仕様 AFX-045 (3層) | 塩ビ系シート防水・機械的固定仕様 塩ビシート 1.5mm品 (1層) |
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試験結果 (20°C) |
耐衝撃区分4 (重量のある工具・器具などを落しても穴があかない) |
耐衝撃区分2 (革靴による歩行で穴があかない) |
アスファルト系の積層防水層は、雨水や熱・紫外線、 躯体の挙動、 コンクリートのアルカリ成分等の影響により、 表層と下層から劣化が進 行していきます。 「かぶせ再生工法」 は、 既存と新設の防水層が相互に劣化因子を抑制する働きをすることで、 新旧が一体化した防水層全体の耐久性が向上します。
アスファルト防水熱工法は、アスファルトコンパウンドを専用の釜で溶融し、液状に溶かした状態で使用します。 アスファルトは温まると柔らかくなり、冷めると固くなる性質があります。 溶融されたアスファルトコンパウンドは200度以上となるため、独特の臭気と煙が発生します。 臭いや煙の対策が必要な場合には、低臭型アスファルトコンパウンド、や電気溶融釜などを使用することを推奨しています。
アスファルト防水熱工法は複層防水となります。 そのため、信頼性の高い防水層が形成でき、改修工事が容易にできない建物などには特に適した工法です。
アスファルト系防水はかぶせ工法を採用することで、耐久性の向上が期待できます。
熱工法は、複層工法となります。 仕上げが2種類あります。
防水層形成後に、コンクリートなどで防水層を保護する工法です。 防水層に直接紫外線などが当たらないため、防水層の耐久性が高いことがメリットですが、保護層分荷重が屋根にかかります。
防水層上に保護層がない工法です。 防水層露出している仕上げとなります。 ウレタン塗膜防水や塩ビシート防水も一般的には露出仕上げとなります。 保護仕上げに比べると紫外線などが直接当たるため、耐久性は少し劣ります。